子どもの病気

まず、体温を正しく測りましょう!

まず、体温を正しく測りましょう!

脇の下の凹みの奥に、下から体温計を入れてください。そして、しっかり腕を押さえてください。体温計の下端がへそを向くように測るのが正しいです。

子どもの体温

37.4度以下は平熱です。
様々な理由で、子どもの体温は1日の中で1度程度は変動します。
体温が37.5度以上あった場合は、涼しい部屋で静かにして10分後にもう一度測ってください。もう一度測って37.4度以下で元気良く食欲があれば、そのまま様子を見てください。

体温は他の症状と同様に一つの目安です。
元気で食欲があれば、発熱があっても翌朝まで様子を見てください。

発熱ととともに以下の症状があれば、なるべく早く受診してください。

  • ぐったりして遊ばない時
  • 食欲がなく特に2食以上食べない時
  • 発熱が続く時(特に3日以上)
  • 夜、咳で起きてしまうなど咳がひどい時
  • 生後3ヶ月未満の発熱
  • 何か変だと思った時

2.急性胃腸炎

嘔吐の対処法

嘔吐は脱水になりやすく、その脱水に対する治療が最も大切です。
経口補水液(OS1など)を少しずつ飲ませてください。経口補水液は点滴と同等の効果があります。OS1が飲めない場合はポカリスエットなどのイオン飲料水を飲ませてください。
与え方は、2歳以下の小児ではスプーンやスポイトで1~2分ごとに与えてください。
年長児ではコップから頻回に少量ずつ飲ませてください。
飲んで嘔吐した場合は5~10分待って再度飲ませてください。
飲む量が増えて元気になったら、すみやかにミルクや普通食を与えてください。

下痢の対処法

甘い物(特にジュース、炭酸飲料、甘いお菓子、フルーツ)を取り過ぎると下痢がひどくなります。
食事は普通食を与えてください。
お粥はカロリーが少ないので成長期の子どもに長期間与えることは良くありません。

結局、胃腸炎の治療の基本は以下の2つです

1)経口補水
2)食事療法

  • 甘いジュース、お菓子フルーツを食べて下痢を悪化させないこと

注意すべき症状

以下の症状がある場合は、すみやかに医療機関を受診してください。

  1. ぐったりしている
  2. 目が落ちくぼんで手足が冷たい
  3. 皮膚がシワシワ
  4. 持続する嘔吐
  5. 黄色や緑色の胆汁性嘔吐、もしくは血性嘔吐
  6. 腹痛が長時間続く
  7. くの字に身体を折り曲げる、痛みで泣き叫ぶ、もしくは歩くと響くなどの強い腹痛
  8. 血便または黒色便

3.風邪を引いた

子どもはよく発熱します。保育園などで集団生活をしている場合は更に多く発熱します。殆どが風邪による発熱です。子どもの発熱は心配ですが殆どが数日以内に解熱します。
咳や鼻水は比較的長く続きます。50%は1週間続き、10~20%は3週間続きます。
咳や鼻水が長引いても症状が軽く元気で食欲があれば、それは通常の風邪の経過です。

心配な症状は以下の通りです。なるべく早く受診してください。

  • ぐったりして遊ばない時
  • 食欲がなく特に2食以上食べない時
  • 発熱が続く時(特に3日以上)
  • 夜、咳で起きてしまうなど咳がひどい時
  • 生後3ヶ月未満の発熱

4.気管支喘息

気管支喘息は気道の炎症が原因です。

症状を繰り返す場合、咳や喘鳴を抑える薬以外に気道の炎症を抑える薬を一定期間使用する必要があります。良くなっても、すぐに治療を中断するのは止めてください。

気道の炎症を抑える治療を適切に一定期間続ければ、繰り返す症状を抑えることが出来ます。

環境整備(部屋の掃除、寝具の手入れ室内禁煙など)、治療(治療の選択、治療の継続、吸入の仕方など)が大切になります。

5.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥しやすく容易に皮膚炎を起こします。入浴・シャワーなど皮膚の清潔、保湿剤などのスキンケアはとても大切です。

皮膚炎を起こしている場所に呈してはステロイド外用薬を使用します。ステロイドの選択とともに塗る量と塗り方がとても大切です。丁寧に指導を受けてください。しっかり治さないと又すぐに悪化します。まず、しっかり治して、徐々に薬の使用を減らしていきます。そのようにして治療すればアトピー性皮膚炎は非常に良くなります。

外用薬を使う量が少ない方、良くなるとすぐに治療を中止する方が多いので、注意が必要です。

6.RSウイルス感染症

病気について

  • 毎年秋から冬にかけて多く認められます。最近は、その他の季節でも見られます。
  • 乳幼児にとってはありふれた病気で、50%以上の子が生後1歳までに、ほぼ100%の子が2歳までにRSウイルスに感染します。
  • 初めて感染した時の症状は、発熱、鼻汁などの上気道症状(風邪と同じ症状)が約70%です。約30%で咳や喘鳴(ゼーゼー)が出現して、気管支炎、肺炎、細気管支炎になります。約2%の子が入院しますが、生後6ヶ月以内の乳児に多いです。
  • 再感染によるRSウイルス感染症も非常に多くに認めらますが、あまり重症化しません。通常の風邪扱いになります。

治療

特別な治療はありません。風邪と同じ治療です。

こんな時は病院へ行きましょう

  • 胸やお腹をペコペコさせて呼吸しているとき
  • ぐったりしているとき
  • 顔色が悪いとき
  • ミルクや母乳の飲みが悪いとき

7.ヒトメタニューモウイルス感染症

病気について

咳や発熱が長引く風邪の一種です。

3~6月が流行のピークですが、それ以外の時期にも起こりえます。1~3歳の幼児で流行することが多いのですが、大人にも感染します。

多くの場合、咳は1週間程度続き、発熱も4~5日程度続きます。鼻水も見られます。悪化すると、喘鳴(ゼーゼーヒューヒューする呼吸)や呼吸困難を起こします。

治療

特別な治療はありません。風邪と同じ治療です。

こんな時は病院へ行きましょう

  • 胸やお腹をペコペコさせて呼吸しているとき
  • ぐったりしているとき
  • 顔色が悪いとき
  • ミルクや母乳の飲みが悪いとき

8.アデノウイルス感染症

病気について

病気について

アデノウイルスがのどに感染して起きる病気です。

のどが赤くなって39~40℃の高熱が4~5日続きます。目が赤くなることもあります。昔はプールでうつったので「プール熱」の名がありましたが、最近のプールは塩素消毒がされていますのでプールではうつりません。ヒトからヒトへ接触によって感染します。

治療

安静と解熱薬だけです。体温が38.5℃以上で辛い時は解熱薬を使用してください。体温が38.5℃以上でも、元気だったら使用しなくて大丈夫です。高熱が3日以上続く場合は念のために来院してください。

登園・登校

熱が下がった日から3日目に行けます。

熱が下がった日
休み
熱が下がった翌日
休み
熱が下がった翌々日
休み
熱が下がった3日目
登園・登校可

9.りんご病(伝染性紅斑)

病気について

病気について

ほっぺがリンゴのように赤くなるので「りんご病」とよばれています。太ももや腕にも赤い斑点やまだら模様ができることがあります。

注意点

屋外で紫外線を浴びると、発疹がひどくなることがあります。
長時間外で遊ぶのは、一週間程度は控えてください。
妊娠中に「りんご病」にかかると、お腹の赤ちゃんに影響があります。
もしも妊娠中に「りんご病」になったら、産科の先生に相談してください。

登園・登校

「りんご病」で発疹ができる時期は感染しません。登園・登校は可能です。

10.溶連菌感染症

病気について

病気について

溶連菌という細菌がのどに感染して、のどの痛みや熱が出る病気です。人によって、身体や手足に赤い発疹がでます。舌にイチゴのようなボツボツができることもあります。

治療

ペニシリン系またはセファロスポリン系の抗菌薬を10日間飲みます。

1~2日で熱が下がって元気になりますが、途中で薬を止めると再発します。

薬をきちんと最後まで飲まないとリウマチ熱を起こすことがありますので、指示通り最後まで飲んでください。

2日以上たっても熱が下がらないときは来院してください。

登園・登校

抗菌薬を飲み始めて24時間以上経過すれば、他の子にはうつりません。

11.手足口病

病気の説明

手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発疹が出る、ウイルスの感染によって起こる感染症です。多くのウイルスによって起きるために何回もかかります。

感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどです。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です。しかし、まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの合併症が起きることがあります。

治療

特別な治療はありません。

登園・登校

手足口病には有効なワクチンはなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。治った後でも、比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります。また、感染しても発病はせず、ウイルスを排泄している場合があります。乳幼児の集団生活施設では、施設内での感染の広がりを防ぐことは難しいです。しかし、手足口病は、発病しても、軽い症状だけで治ってしまうことがほとんどであるという意味で、感染してはいけない特別な病気ではありません。

平熱になり食事が取れれば登園・登校してください。

こんな時は病院へ行きましょう

  • 高熱が出る。
  • 発熱が2日以上続く。
  • 嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに答えない。
  • 呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない。
  • ぐったりとしている。

12.鼻血

病気の説明

病気の説明

鼻血は、子どもにはよくあることです。
ほとんどは、鼻をいじったりひっかいたりすることで出血します。アレルギー性鼻炎が原因となることもあります。
血液の病気が原因となることは極めて稀です。また、「のぼせて」鼻血が出るわけではありません。一度鼻血が出ると、しばらくは鼻を強くかんだぐらいでも出血しやすくなります。

処置

  1. すわって、頭を少し前かがみにします。
  2. 出血するのは鼻の入り口から約1cmの所です。
  3. 小鼻(鼻翼)をつまんで約10分間圧迫します。
    綿球やティッシュをつめても良いですが、早めに取り出すと、せっかくふさがりかけた傷口がまたあいてしまいます。

          処置

          小鼻(鼻翼)

          13.子どもの具合

          子どもの具合

          子どもの具合は心配ですね。
          家庭で出来る子どもの具合を紹介します。
          以下の3点です。

          1)見た目が元気そうか?

          • 周囲への興味を示す。
          • 目と目が合って、普通の応答
          • 泣き声が元気
          • ぐったりしていない
          2)呼吸は正常か?

          • 楽に呼吸をしている。
          • ゼーゼー、ヒューヒューなどの音が聞こえない

          3)皮膚の色

          • 血色が良い。


          子どもは発熱などの症状があっても、見た目が元気で飲食していれば具合は悪くありません。
          一晩様子見て大丈夫です。

          以下の場合は医療機関を受診してください。

          • ぐったりして周囲への興味を示さない。
          • 弱々しい鳴き声。
          • 呼吸が苦しそう。
          • 顔色が極端に悪い。

          栃木県医師会の「子どもの救急ガイドブック」も参考にしてください。

          http://nasumed.sakura.ne.jp/public/pdf/202206_kodomo.pdf

          14.スマホの効用

          スマホの効用

          病気の診断にスマホはかなり役立ちます。

          1. 蕁麻疹など、すぐに消えてしまう皮疹
          2. 鼠径ヘルニアなど、出たり引っ込んだりするもの
          3. けいれんの様子
          4. 夜間の咳、ゼーゼーなど

          症状があるうちに画像を残してください。